六甲:油コブシ 12月

 
 何気なく地図を見ていて、時々ふっと気になる場所がある。六甲山系・坊主山もその一つである。名前もおかしいが、低山のここに何故ピークがあるのか?
 ピークがあるからには、鞍部がある。その鞍部を眺めていると六甲山の断層が頭をよぎった。
 
坊主山

 標高300m、海からつづく住宅地がここまで這い登っ ている。しかも、JRの駅からここまで、神戸市バスが均一料金200円で運んでくれる。渦森台4丁目でバスを降りると市街地が海まで一望できる。大阪湾を はさんで葛城山、金剛山も薄っすらであるが見える。ここから数分で登山口、標高376mの坊主山まではすぐである。
 
天空のバス停のよう、展望がすこぶる良い

 登山口から新田川を渡る道があるか懸念したが、新田川 には水が流れておらず、しかも、いい道がついているではないか。対岸の高羽道まで2分で行けた。高羽道を数m上流のところに説明板があった。ここから鞍部 への道があるが、地図に記載されている道を歩くことにしていた。高羽道を少し下るとクスノキがあった。この脇に道があるので、それを登った。途中、道は怪 しくなるがちょうど鞍部に出た。鞍部にはよく踏まれた道と「順路」と書かれた標識があった。標識は先ほどの説明板の場所を指していた。
 
新田川を渡る登山道                           坊主山との鞍部の標識

 ここが断層の破砕帯による鞍部かと思い黒五谷の方を眺 めたが、明らかな断層のような地形は認められなかった。しかし、鞍部の東斜面は砂防事務所の試験観測地になっていた。土砂の移動を観測しているらしい。鞍 部から坊主山はすぐであった。頂上には高圧鉄塔があるだけで、木が繁茂し展望はよくない。木々がなければ、絶好の展望地だろう。しかもここは、銅鐸発見で 有名な桜ケ丘の真上に当たる山である。展望がよければ、感慨深げに展望を楽しむのに・・・・と思った。
 
砂防事務所の試験観測地                            打越山方面を望む

 坊主山から鞍部まで引き返し、今度はジグザク道を六甲山に向けて登った。階段続きで登りにくいが、振 り返るとここかしこで展望が楽しめた。登りきったところに鉄塔があり、その手前に展望岩が見えた。ここからは、神戸の西の方が一望できる。茶を飲みパンを かじったが、西風が強く汗をかいた体が寒い。
 
展望岩と展望

  尾根を行くとすぐに次の鉄塔が現れ、さらに行くと立 派な高羽道に出た。ここから高羽道を西に歩いた。急崖に作られた立派な登山道である。登山道といってもほとんど水平道だ。元々は関電の鉄塔巡視路であろ う。急崖は、多分断層により形成されたものであろう。途中、油コブシ道のゆるい方の道の標識もあったが、それを超えると東の展望が開けた場所があり、坊主 山が低く見えた。鉄塔のある油コブシ道分岐までは思っていたよりはるかに近かった。
 
高羽道

 油コブシ道を登ると急に東西の展望が開 けた。鉄塔が邪魔になるが好展望である。2〜3分登ると、ゆるい方の道が合流してきた。次の鉄塔を越え、平坦部に来ると森林管理道分岐に出る。ここから、 またも急坂を登ると草地に出た。展望は望めないが、ベンチがたくさん置いてある。屋根つきの東屋もある。ここで昼食とした。油コブシと書いてあったので三 角点を探すも見つからない。
 
油コブシ休憩所

 休憩のあと、さらに六甲の方へ。道が2つに分かれてい たので、とにかく右の稜線をたどる道を選んだ。しかし、地図と合わない。地図では油コブシのあとは平坦地であるはずなのに、急坂なのである。坂の最後は岩 があった。なんとそこに三角点が鎮座していた。どうやら先ほどの場所は、地図上で三角点の下の平坦地であったのだ。地名が書いてあったので、てっきり三角 点の場所だと信じ込んでいたのだ。ということは先ほどの草地は地図に記入はないが「油コブシの休憩所」ということか・・・・。
 
三角点は草地より一段高いところにあった

 三角点からは平坦地。すぐに左から道が合流してきた。ここも急な道とゆるい道の両方があるのだ。すぐに道が2つに分かれる。稜線の道は森林管理道と書いてある。ここも両方の道があるのだろう。よく踏まれているゆるい方の道を選んだ。
やがて右からの寒天道と合流し、セザンヌの絵のような木々を抜ける快適な道だ。
 
油コブシより上部の道

 やがて、正面に六甲ケーブル山上駅が間じかに見え、この登山道はすぐそこの山上駅周辺の家々へ続いて いることがわかった。今日は、山上駅からケーブルで下山しようと思っていたのだが、意外と簡単にここまで来てしまった。いまさら自動車道に出ても仕方ある まい。違う道から降りてみよう。急に気が変わった。引き返し、油コブシへ。ゆるい道は途中で展望岩があった。淡路・須磨・神戸市街が眼下に見える。油コブ シの休憩所からさらに下って、森林管理道に入った。
 
六甲ケーブル山上駅                      展望岩からの西の展望


展望岩

 森林管理道は思ったより荒れていた。踏 み跡らしき道があちこちにある。地図で現在地をほぼ確認しながら、中でもよく踏まれている道を選んで歩く。ぴったし、先ほどの坊主山からの道と高羽道の合 流点に出た。地図の記載では合流点が違う。ここにはそちらを示す標識もないし、先ほども、この道があることなどに全く気づかなかった。歩いてきた今でも踏 み跡程度で道のようには見えない。
 
油コブシとの分岐             森林管理道              高羽道との分岐

 ここからは再び高羽道を西へ歩いた。同じ道は近く感じる。油コブシ道との分岐まで来た。実はこの下の 鉄塔からは超展望が望めるはず。地図上ではそうなっている。しっかりした踏み跡があるので、知る人の知る場所だ・・・・・と勝手に判断して鉄塔まで下り た。しかし、ガレているはずの斜面にはびっしりと木が植えられている。昨日今日植えたものではない。崖地ゆえに人が落ちないように植えたのだろう。地図で 見つけた絶好の展望地だと思ってだけに裏切られた気持ちで高羽道までもどった。
 ここから六甲ケーブル下駅までは下りだけである。ゆるい道を選んで下りた。途中の緩斜面では、渋柿だろうか、細かな実がたわわになっていた。
 
高羽道を再度西へ


まだ柿がついていた


 気持ちのよい平坦部を過ぎると崖が望まれる。崖の斜面は老人ホームが建ち、その下に鶴甲の団地、神戸大学、この高台の斜面からずっと海まで住宅地が続いている。蔦が壁を這い上がるように住宅が山に伸びている。神戸とはそのような街なのだ。
 高羽道を快適な足取りでケーブル下まで下りた。標高250mのここからJR六甲駅まで頻繁にバスが出ている。ケーブルで下りてきた小学生の一団を見送っ て、次のバスに乗った。まず、風呂に入ろう。温泉付きの風呂で410円。水曜日なら稲咲さんもやっている。これが楽しみで山に来ているのかも知れない。
 
高羽道も終わり                               六甲ケーブル下駅




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