六甲高山植物園(6月) 2017 6/12

 ちょうどその時期と思い、六甲高山植物園を訪れた。キヨスミウツボの話だ。しかし、今年は季節が少し後にずれているのかさっぱり見当たらない。

 砂礫地ではウスユキソウが花盛り。

セイヨウウスユキソウ (エーデルワイス)

 国内にも近縁種がいろいろあるが、有名なのが早池峰山に咲くハヤチネウスユキソウだ。

ハヤチネウスユキソウ

 それよりももっと西洋種に近いというのが、北海道・大平山のオオヒラウスユキソウだ。

オオヒラウスユキソウ

 同じオオヒラウスユキソウでも、崕山(キリギシ山)産のは、実に元気が良い。この山はいろいろな希少種の植物が沢山あることで一躍有名になり、その後、環境保護のため入山制限となってようだ。

崕山産のオオヒラウスユキソウ

 礼文島のエゾウスユキソウ(レブンウスユキソウ)とチシマウスユキソウは、素人では区別がつきにくい。
 
エゾウスユキソウチシマウスユキソウ

 東北を中心として、ホソバウスユキソウがある。これ単独だとエーデルワイスと思ってしまうが、両者を並べるとやはり随分と違うことに気づく。
 
ホソバノウスユキソウエーデルワイス

 
ハヤチネウスユキソウオオヒラウスユキソウ


 八幡平の旅では、ウラジロヨウラクの北国種であるガクウラジロヨウラクを見たが、ここでは蕚が短いがトゲトゲで色の濃い種があった。ムラサキツリガネツツジといって相模あたりの固有種のようだ。

ムラサキツリガネツツジ
 


            ガクウラジロヨウラク (八幡平・玉川温泉) 5月

 つぼ型の小さな花をつけるツツジの仲間は本当に可愛いい。特に実が食べられるのは最高だ。

クロマメノキ

 
シラタマノキアカモノ


コケモモ? 

 
サラサドウダンベニドウダン

 
モチツツジヤクシマシャクナゲ

 高山ではこれから咲くニッコウキスゲが満開であった。ここのは白山から移植したものとのよう。なんとなく身近に感じてしまった。ただ、白山ではこのような見事な群落に出会ったことがない。いつも時期を外して登っていたのかも知れない。

ニッコウキスゲ
 

 

 ニッコウキスゲから離れて淡い色の花が1輪だけ咲いていた。解説員も今日初めて見る花、時々このような花が出てきくるので、解説員泣かせの花だという。ニッコウキスゲとは色も雰囲気も違う。ユウスゲかと思っていたら、昼間に咲いているのでエゾキスゲかも知れないとのことだった。
 
エゾキスゲ?エゾスカシユリ

 ユリの仲間は清楚なものが多いが、ヒメサユリは色もかわいい。またシロウマアサツキもソウである。このシロウマアサツキはユリ科だと思っていたら、知らない間に水仙と同じヒガンバナ科になっていた。知らない間というのは語弊があるが、旧来慣れ親しんできたのは外見的な特徴から、そうだろうということで分類した体系であったものが、科学の進歩によりゲノム解析ができるようになり、そこから構築された分類体系だという。正式名はないが、一般的にAPG(被子植物系統グループ:AngiosperomPhylogenyGroupe)体系と呼ばれているらしい。
 
ヒメサユリシロウマアサツキ


 カタクリもマイズルソウもユリ科の植物。でも、実はこんなに雰囲気が違う。確かユリ科だったと思って調べると、マイヅルソウはもうユリ科でなく、APG体系ではアスパラガスで代表されるキジカクシ科に移行されたようだ。科のレベルでなく、目レベルで分類され、ユリから遠くなってしまった。
 
カタクリマイヅルソウ

 アマドコロもAPG体系ではユリ科からキジカクシ科へ分割された。アマドコロと近縁でユリの名がつくナルコユリもそうである。

アマドコロ
 
ミヤマナルコユリオオナルコユリ

 一方、コバイケイソウはAPG体系でもユリ目に留まっているが、これもユリ科でなく、メランチウム科となった。この科は別名シュロソウ科とも呼ばれ、毒性を帯びているものが多いとのことである。毒性のものが同じ仲間というのは理解しやすい気もする。ショウジョウバカマやシライトソウも、このメランチウム科に属することになったという。キヌガサソウ、ツクバネソウ、エンレイソウなど素人目にもユリの花と遠いなぁと思っていたが、この科に属するようになったときけば、「あぁそうなんだと」簡単に納得してしまう。我々のような門外漢というのはそのような程度であるのも否めない。
 
シライトソウ


[ 写 真 集 ]・・・少し大きめの写真が楽しめます

おしまい