2015 4/16
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薬草料理(大宇陀)
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春めいてきた。天気も良さそう。葛と薬草の町・大宇陀の薬草料理が食べたくなった。又兵衛桜も一段落したので、たくさんの客が押し寄せることもないだろう。かねて、約束していた食いしん坊に「明後日どう?」と声をかけると早速の返事があった。
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薬草料理の大宇陀・大願寺
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大宇陀はかっての織田氏の城下町、伝統的建築が多い町として知られている。そのような土地柄だけに、いきなり門をくぐって食事するなどはしたくない。せっかくだから体をその町に馴化させてから食事をしたい。
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左三輪・桜井、右長谷榛原
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町の入口でバスを降り、昔の街道を歩く。立派な道標、しかも見事な彫りである。織田氏の城下の頃は松山と呼ばれていた。大宇陀というのは戦時中の町村合併後の名前である。その織田氏も不祥事があり、元禄期に丹波の柏原へ改易となっている。それ以降は天領として、町人の町として栄えてきた。よって、かっての城門の中に商家が立ち並ぶこととなった。
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松山西口関門
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また、ここは大阪と伊勢を結ぶ伊勢本街道、和歌山と伊勢を結ぶ伊勢南街道、東海道から分かれて奈良に向かう初瀬街道、それらを結ぶ要衝としても栄えることとなった。町の四辻に四面とも行き先が書かれた珍しい道標があった。東西南北は道標から見ての方角である。
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南:左長谷・榛原・京・大坂 西:すぐ伊勢道、右大峰山上 北:左伊勢道・吉光尼御塚
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町の両側に南北に走る街道があり、北は、先ほどの立派な道標に行き着く。南は伊勢南街道につながっている。北へはここより西側にある西口関門を誘導し、南へは反対方向へ誘導している。ちなみに、東からの旅人にはそのまま西口関門へ行くような表示となっている。(東:すぐ京・大坂・長谷・榛原)
街の中は、このような虫籠窓の家がいっぱいある。しかも、現役の民家が多い。ここも、郵便局として使われていた。
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虫籠窓(ムシコマド)の民家
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気分が松山の雰囲気に満ちてきたので、大願寺の門をくぐった。寄り道もしたが、バス停からかれこれ1時間以上歩いていた。
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毘沙門が覗く山門
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少し待たされ、玄関脇の八人がけのテーブルに案内された。今日は人が少ないようだ。すでに前菜、胡麻豆腐、酢の物、白あえ、三種盛りが並べてあった。
献立表によると、可愛くおかれた前菜は、金銀寄せ(金柑の中に銀杏が仕込まれたもの)、市松羊羹(南京とトマト)、蕗の酢漬け、玄米のおにぎり(発酵玄米と小豆)、味噌漬け豆腐である。味噌漬豆腐はチーズのようにねっとりしているので褒めたら、「それだけは外から仕入れたものです」といわれた。
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前菜
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胡麻豆腐は、吉野本葛を使っているらしい。ねっとりしてうまい。
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胡麻豆腐
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白あえは、しめじ、こんにゃくを豆腐であえ、食感がクリームのように滑らかだった。上にとんぶりがかかっていてプチプチ感がまた楽しい。
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白あえ
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酢の物は、菊花、紅花、ヤブカンゾウの花と花づくしである。紅花が入っているためか、汁が黄色く染まっている。
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酢の物
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長い皿に乗せられたのが三種盛である。まずは、長芋をを軽くあげ、その上にバイ肉とマタタビの実が乗せられている。酒のあてに良いという人もいた。
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三種盛:その1
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中央がサツマイモ、肉もどきの大豆揚げ、レンコンである。
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三種盛:その2
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そして最後の小鉢に入っているのが薬膳料理で金針菜と呼ばれる甘草の蕾を干したものである。これをもどして、味付けし、それに枸杞の実が添えられていた。
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三種盛:その3
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「時間が経つと味が落ちますので、すぐに食べてください・・・」といわれて、食べてしまったらこのような葛なしの写真になった。葛の刺身である。吉野本葛を使っていて透けて見えるくらいだった。2年前も、2枚食ったところで慌てて写真に1枚だけ残ったところを撮影したことを思い出した。
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葛の刺身
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煮物は、飛竜頭のあんかけである。わずかにダイコンの摺ったのが入っていたような気がする。汁まで飲んでしまった。以前に来たときは青いあんがかかっていたが、今年は違うようだ。
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煮物
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参考までに、2年前に食べた葛の刺身と煮物の写真を捜したらでてきた。
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葛の刺身 煮物
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天麩羅は、その時々で変わるようであるが、待ちきれず食ってしまったので、写真の痕跡もない。今年のは、ヨモギ、キンミズヒキの若葉、ユキノシタ、ミント、アイスプラント、完熟ナツメの実だった。春だから、野菜に強烈さはなかったが、ナツメの実が意外と自己主張していた。
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大願寺の箸袋(裏に標準的な献立が書いてある)
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この写真は2年前のものだが、これもある程度食ってしまってからの写真だと思う。この頃は薬膳の意味もあって、朝鮮人参が入っていた。
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2年前の天麩羅
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御飯は、黒米である。ほんの少しだけ精米し、炊いたものとのこと、もちもちしていて非常にうまかった。上に塩・茶が振ってあっていい味を出していた。
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御飯
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吸物は舞茸、ミツバとヨモギが練りこんである細麺だった。
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吸物
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香の物は、胡瓜、浅漬けにもろみ味噌がそえてあった。ほどよい塩加減で、そのままでもおいしく食べられた。
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香の物
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デザートはドクダミのシャーベット、紅茶で煮た無花果、豆が入った羊羹だった。シャーベットはもっと強烈な味がするかと思ったが、ほとんどカキ氷のようだった。
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デザート
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少しずつの料理で、腹が膨れるかと思ったが、食べ終わったら、それで十分満足できた。薬草茶は、アマチャズル、ドクダミ、アロエ、ハトムギ、クコ等10種入りとあった。薬缶でお代わりしてしまった。
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薬缶で出される薬草茶
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食いしん坊は味にうるさい。びくびくした気持ちで「どうでしたでしょうか?」と聞くと、「おいしかったし、腹いっぱいになった」とのこと、機会があればまた来ようということになった。
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十一面観音をまつる本堂
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薬草料理を食べ、身がきれいになるのは確実、心もきれいになるべく観音様にお祈りして大願寺を辞した。
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心身ともに満足
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以上
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